CANDY TIME

ガチャッ

「おはようございます」

坂本が事務室に入ってきた。

「あっ 坂本君 今から？」
「ええ クローズまで」
「僕 休憩中～」

どうやら今日は、久保田と坂本のシフトが違うようだ。
先に仕事に入っていた久保田はいま休憩中なのだが、妙にご機嫌である。

「どうしたんです？
zit face(ニキビっ面) を綻ばせて」

「あっ  分かる？」
「だってさ今日は 人生初の給料日なんだよ？」

シャッ
久保田の返事を耳にしつつ、坂本は更衣室に入る。

(坂本君お着替え中)

「何に使おっかなあ…」

(坂本君お着替え中)

「思い切って ストレートパーマ かけちゃおうかなあ？」
「坂本君は？」

「…… そうですね　僕は…」


シャッ


「分度器を 新調します」

「まっじめー！」





今日の「SMILE BURGER」には、意外な客が来ていた。


「えーと ビックUGMのセットで…… ドリンクはコーラ それと……」

その客とは、あっちゃんこと前田あつし！！
どこか照れくさそうなあっちゃんとは対照的に、左右にいるケンケンとまりおは楽しそうにニヤニヤしている。

「へへっ」
ツン ツン
「わ　わーってるって！」

2人に促され、意を決したあっちゃんは告げる。


 「しゅまいる(SMILE)…　テイクアウトで」


そのオーダーを受けたレジ担当は、もちろん坂本。
坂本はあっちゃんに、ご注文の品を振る舞う。







「ひゅーひゅー！」

「よかったなー あっちゃん」

待望のものが見られたあつしを、囃し立てるまりおとケンケン。
だがあつしは、ムキになって否定する。

「ばっ うっせーな！」
「マジそんなんじゃねーし！！」

どこまでもツンデレなあっちゃんであった。


そんな微笑ましい(?)クラスメイト達のやり取りを厨房から見ていた久保田も、思わずつられて笑ってしまう。

「フフ・・」

そんな久保田に、ベテランクルーの松山女史が声をかける。

「久保田君 ポテト出したら あがっていいわよ」

「はいっ」と返事をして、久保田は今日最後の作業を終える。
この後は初めてのバイト代を受け取って、自由に過ごせる時間が待っている。


ところが・・・！？


(げっ)


久保田が目撃した2人組の来店客。
それは―


「何くうべ？」「んー」


即座に身を伏せ、顔を背ける久保田。


(あいつらだ……！)


ドッ ドッ ドッ ド



もっとも会いたくない連中が近づいてきた。
はたして久保田はどうなるのか？





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[2回]