CANDY TIME

祝・開設15周年!!

「戦争はまだ続くのでしょうか?」「たぶん、な…」

2012.01.27 (Fri) Category : アニメ(『ガンダムAGE』)

『機動戦士ガンダムAGE』第15話の感想の後編です。
(本文は1月28日に書いています)

アンバット司令官であるギーラ・ゾイが語るUEの真実とは何か?
戦いの先に待っているのは何か?
遂に、第1部クライマックス!

地球種がUE(アンノウン・エネミー)と呼ぶ存在。
彼らの正体は、150年前の火星移住計画の失敗で火星圏に取り残された人々でした。

150年前、数が増えすぎた人類は新天地として火星に移住する計画「マーズバースディ」を打ち立てました。
16機のコロニーが作られ、次々に人々が移住。
しかし、磁気嵐が起こす〝マーズレイ〟により住民の2割が死病に侵されました。
自分達の調査不足を隠蔽する為、地球連邦は火星圏の住人は全滅したと公表。生き残った人々をも見捨てました。
しかし、彼ら火星の住民は死に絶えてはおらず、いつ発症するか分からない恐怖に耐えながら、地球への帰還、そして地球種への恨みを募らせていました。
火星に独立国家を打ち立てた彼ら。
その国家の名を〝ヴェイガン〟と称しています。

UE、いえヴェイガンが地球以上の技術を持っているのも、人間が住む環境ではない火星圏で生きる為に技術発展させ続けていたからでしょう。
人間が生まれた星・地球や、環境が管理されており、トラブルが起きても他のコロニーに助けてもらえる地球圏のコロニーで生活するのとはワケが違います。
彼らにとって幸いだったのは、「火星は資源が豊富」と言ってたので、火星(及び周辺の2つの衛星や小惑星帯)から資源を手に入れることが出来る技術もあったのでしょう。
だからこそ、孤立無援の状態から地球圏に戻れるくらいまでになったのでしょう。(100年以上かかっていますが)


余談ですが、『ガンダム』シリーズでは、たまに火星が話題に出ることがあります。(木星ほどではありませんが)
火星を舞台にした作品といえば、漫画『機動戦士ガンダムF90』を思い浮かべます。
『F90』を読んだことがなくても、『SDガンダム外伝』の「聖機兵物語」に登場した傭兵騎士マルスガンダムの名前は覚えている人もいるのではないでしょうか?
傭兵騎士マルスガンダムのモチーフは、『F90』に登場するジオン火星独立軍に奪われたガンダムF90の2号機。
私が「マルス」=「火星」と知ったのは、このマルスガンダムの名の由来からだったりします(^^)


ともかく、今まで異星人と思っていた敵は、地球人と同じ存在、同じ人間でした。
フリットの後を追ってたウルフも、瀕死の状態のヴェイガン兵士の顔を見て、人類と同じ顔と知って驚いていました。
(デファースから脱出したギーラを見た時は驚いてなかったので、他のキャラ同様、等身大サイズの宇宙人とでも思っていたのでしょう)
死の間際に地球への帰還を望む兵士の手を取るウルフ。
兵士は持ってたペンダントをウルフに渡し、ウルフがうなづいたのを見て、微笑んだ表情を浮かべて息を引き取りました。
せめてペンダントだけでも地球へ持って行ってほしいと頼んだのでしょうか?


一方、アンバット司令室。
UEの正体を知り、戸惑うアダムスやミレース。
しかし、先程ギーラに復讐に生きている自身を「悲しい男」と称されたグルーデックは、ヴェイガンがこれまでやってきたことを避難し、さらに言います。

「お前たちのやったことは、報復戦争・・・つまり、ただの復讐だっ!!」

ですが、ギーラはそれを否定します。

「いや、違う! イゼルカント様の志は、そんな低次元なものではない!」

そのイゼルカントという人物、おそらくはヴェイガンの中心的人物なのでしょう。
過酷な環境で暮らす彼らにとっては精神的支柱となる存在だと思われます。

イゼルカントの志を讃える言葉を続けるギーラ。
そんな彼に、フリットは叫びます。

「だから…だから、何なんだよッ!!」

さっきからズ~~~~ッと殺る気を抑えて聞いてたのに、出てくる言葉が(フリットには)納得できないものばかりだったので、とうとうキレました(^^;)

「例えどんな理由があろうと、僕はお前たちを認めないっ!!」

グルーデック同様、ヴェイガンが今までやってきたことを避難するフリット。
しかし、ヴェイガンに自分と同じ復讐心を感じたグルーデックとは反対に、フリットは「UEが悪で、自分は救世主になる」と思うことで自身の復讐を正当化していた面があります。
つまり自分の思い込みで、自身を成り立たそうとしてます。
UEが酷い行動をしたからと迷うことなく破壊し、顔を知ってたデシルもユリンが殺されたからと容赦なく倒し、逃げるギーラに「UEの親玉だから」と躊躇うことなく発砲してきました。
そういう行動が出来たのも、「UEは人間じゃない」と思い込んでいたからです。
しかし、その前提はもはや覆されています。

「貴様に撃てるのか、人間を?」
「撃てるッ! お前達は人間なんかじゃないッ!!」

ギーラの問いかけに、半ば自分に言い聞かせるように叫ぶフリット。
そんなフリットの心中を見抜いたのか、ギーラさんはフリットの銃口を自分の額に当てさせて言います。

「ならば、撃ってみろ!! 貴様にそれだけの覚悟あるのなら!」

怯えて引き金が引けないフリット。
ギーラの気迫に気圧されたということもあるのでしょうが、ここへ来て「人間と」戦っていたという事実に迷いが生じたのでしょう。


フリットが葛藤している間に、銃声が響きました。
グルーデックが背後からギーラを撃ったのです。
グルーデックは相手が何者であれ、復讐する為にここまで来たのです。
仮に自分の予測がはずれ、相手が人知を超えた存在だったとしても、怯まず復讐を果たそうとしたでしょう。
ただ、この後のシーンでいろいろ言ってたことから考えるに、フリットに怨恨の連鎖に巻き込ませたくなかったというのもあると思います。

「イゼルカント様に、お前達ごときが刃向かうことなど出来ない。我々の目的は、必ず果たされる・・・。いや・・・果たされねばならんのだっ!!」
重傷を負ったギーラは、指令室内のコンソールがある場所まで移動します。
何かしようと操作しているギーラに、グルーデックは再び発砲。
今度こそ致命的だったようで、ギーラの体は力なく崩れていきます。

「我々も魂になれば・・・地球に帰れる・・・。イゼルカント様、そうですよね・・・? 私もこれで・・・地球に・・・」

今際の際に地球への思いを呟くギーラに、複雑な表情を見せる一行。

直後、アンバット内で爆発が起こりました。
ギーラが最後にやろうとしたのは、地球種を道連れに基地を自爆させることでした。


「父さん! この爆発は・・・まさかッ!?」

突然の事態に、父を心配して指令室内に入ってきたアラベルが見たものは、死亡した父・ギーラの姿でした。
父の名を呼び泣き崩れるアラベルを、いたたまれない面持ちで見つめる一行。
意を決したグルーデックは、アラベルに近づきます。

「この地球種めっ!!」

グルーデックはアラベルが向けた銃を払いのけ、自分がアラベルの父の仇であることを言います。

「お前は私と同じだ。復讐という亡霊にとりつかれて、悲劇的な人生を歩め!」

涙を流しているアラベルに、あえてそう言ったグルーデック。
言葉だけ見ると、これも復讐の一環なのかと思わせる非情な発言ですが、おそらくは真意は違うでしょう。
自身がそうだったように、復讐に取り付かれることになる少年の、その憎しみを受け止める覚悟で言ったのでしょう。
つまり、いつかアラベルに討たれることを望んでいる。
そうなることで、復讐の連鎖にピリオドを打とうとしているのではないでしょうか。

・・・と思ってるのですが、どうなんでしょう?
グルーデックさん、案外(?)非情なトコあるからなー。
ホントにヒドイこと言いたかっただけだったりして(^^;)

ともかく、アラベルの復讐心に火はついたようで、この後の場面で意を決したような表情で部屋を出て行きました。
アラベル、素直そうな子だったのに、これから歪んでいきそうですね(-_-;)
第2部で、どんな風に再登場するのでしょうか?
ところで、ギーラさんは息子がアンバット内にいるのにも関わらず自爆させようとしてましたが、まあ自分に何かあった場合の段取りは教えていたのでしょうね。
アラベルは、部屋に入ってくる際に「この爆発は・・・まさかッ!?」とある程度勘付いていましたし、出て行く時も爆発が起きているのに関わらず冷静に部屋を出てましたしね(^_^)


作戦の段取りはメチャクチャになった(^_^;)ものの、基地を破壊するという目的は(結果的に)達成できたグルーデック一向。
最後までこんな調子ですね(^^;)
ともかく、脱出開始!

来た道を戻るだけのグルーデック達3人とは違い、フリットはガンダムを取りに行かねばなりません。
フリットがガンダムを置いてきた場所に辿り着くと、Gエグゼスに乗ったウルフさんが待っていました。
「フリット! 急げ!」
思いっきり離れた場所にガンダムを置いてたようで、グルーデック達の方が先に帰り着きました。
ディーヴァに戻り次第、さっさと発進させるグルーデック。
フリットとウルフも、必死に出口を目指します。
超人オリンピック ザ・ビッグファイトの最終予選でのキン肉マンとウルフマンのデッドヒートを思い出させます!
間一髪、目指すゴール(出口)に辿りつきました―


炎に包まれるアンバット。
「UEの要塞が・・・沈んでいく・・・」
そう呟くフリット。
戦いは終わり、歓喜の声を上げる人々。
しかし、戦っていた相手が同じ人間だと知ったミレースやアダムス、ウルフの心中は複雑でした。
そんな中、グルーデックがブリッジに姿を見せました。
「みんな。ありがとう」
そう言って深々と頭を下げた後、グルーデックはブリッジを去りました。

「アイリ。サラ。少し休んでいいか・・・」
1人艦長室に戻ったグルーデックは、亡き妻と娘が写った写真を見てそう呟きました。
目を閉じたグルーデックは、2人の姿を思い浮かべて涙します。
この場面、あまりにグルーデックが力なく言うので、てっきり突入作戦で重症を負ってる、またはこの後自害でもするんじゃないかと思ってしまいました(^^;)>
長年に渡る復讐心から解放されて、表情同様に気持ちが穏やかになっただけでした。
まだグルーデックにはやる事が残っている(後述)ので、死ぬわけにはいかないでしょう。


一方、ディーヴァに戻って来たフリットを探すエミリー。
ガンダムの足元にいたフリットを見つけるのですが、フリットはユリンのリボンを見ながら悲痛な表情を浮かべていました。
「救世主になって、みんなを守るって誓ったのに・・・!!」
そんなフリットの姿を見て、近づけなくなるエミリー。
「なるんだ・・・。UEを倒して、僕が救世主になる!」
ガンダムを見上げながら、そう誓うフリット。

う~~~ん。やるべきは、腐敗している地球連邦を改革し、ヴェイガンと対話を持つことだと思うんだけどなー、救世主さん(^^;)
フリットとしては、戦う道を選ぶしかないのでしょうか?
とはいえUEはまた新たな艦隊を派遣して来るでしょうから、降りかかる火の粉を払う必要はあるとも言えますし・・・(-_-;)
それはともかく、ちゃんとヴェイガンと呼んでやれよ(^^;)



ラストは、ミレースの語りでその後の出来事が分かりました。

一連の戦いは「蝙蝠退治戦役」と後に呼ばれるようになった。
ディーヴァを独断で運用したことに関しては、グルーデック艦長が1人で罪を被り、反逆者として服役することに。
その後、作戦は連邦軍総司令部の判断で行われたと発表された、

150年前の火星移住計画の失敗の時と同様、真実は闇に葬られた。

「その愚かな行為が、全ての始まりだったというのに・・・」


まさかのミレースのセリフで第1部は終了しました(゜д゜)!??
でもUEの真実を直接知った彼女だから、締めのセリフを言うのに相応しい、かな。
(堅物のアダムスじゃ、こんな皮肉じみた嘆きは似合わないし)


連邦が自分達の判断で作戦を行ったというのは、隠蔽するというだけでなく、世界に混乱を起こさせない為もあるとは思います。
でも、保身第一な人達だろうからな~(^^;)

意外なのは、グルーデックが服役で済み、銃殺とかされてないことですね。
アダムスとかグアバランさんが上層部に掛け合ってくれたのでしょうか?
それとも、ミンスリーやファーデーンの金持ちな人達が、軍に圧力をかけているのでしょうかね?
どのみち軍は、もう外に出すつもりはなさそうな気がしますが(-_-;)


エンディングの後、新たなヴェイガンの戦艦が火星圏から地球に向かうことを示唆する場面が描かれました。
戦いはまだまだ続きそうです・・・



これで第1部は終了しました。

第1部のテーマって、復讐でいいのですかね?
敵味方双方で口に出し、劇中何度もその意味を問いかける場面が描かれてましたし。
あるいは、過去への固執、と言い換えてもいいかも知れません。

謎の全部が解明されたわけではありませんが、それらの答えは次の第2部に持ち越しなのでしょう。
ただ、結局UEのMS型(ガフランやバクト)は有人機なのか無人機なのか分かりませんでしたね。
それ次第で、フリットが自分がしてきたことをどう思うのか変わってくると思うのですが。
あと、「死をも恐れない」というヴェイガン兵士がどういう存在なのかもよく分かりませんでした。
本当に勇敢なのか、イゼルカント様に狂信してるのか、それともマインドコントロールでもされているのか?
本当は怖いけど地球への帰還の為にガマンしているのか?
このこともハッキリさせてほしかったのですが(^^;)

第1部終了ですが、敵味方合わせても明確に死んだと描写されたキャラは少ないです。
大部分が死にそうな気がしてたので、生き残ってくれたのは嬉しいです(^O^)
彼らは第2部にも出るのでしょうか?

フリットは、第2部の主人公の父親となるようです。
嫁はエミリーでしょうけど、ユリンのことで頭がいっぱいのフリットはエミリーのことを見てません。
そのことで息子に反発される父親になったりして(^^;)
個人的には、『鉄人28号FX』の金田正太郎みたいなイカすオヤジになってもらいたいんですけどね(^^;)


いよいよ明日は第2部放送開始。
25年後の世界がどうなっているか、興味は尽きません(^o^)

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